種まきのお話 - 蒼い凝り人の独り言

種まきのお話

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 土の上に蒔いた種が何時になっても発芽しない。ほとほと困りかねた黒が白に問いかけた。黒は真面目で、新物好き。努力はするがいつも苦労する。そして、進んで物事に打ち込み、まっしぐら、必ず最初につまずく性格だ。今日は白と黒の会話を聞いてみようと思う。ある朝のコーヒータイムでの出来事。

黒:  この種は水をやっても発芽しない。毎日、決められた時間にきちんと水を上げたのに、
白:  変ねえ!普通だったらとっくに発芽しているはずよ
       随分と語気が荒い白の口ぶり。
黒: 最近の種は何か加工しているのかな、遺伝子工学で変えているのかな
白:  難しい事は知らないけど、土づくりはしたの
      少し高圧的な言い方に、黒は萎縮するがとぼけて答えた。
黒: え、土づくり 何それ。
白: 最初に土壌をよく見なければ駄目よ、あなた、無毛の大地に種まいたって生えないわよ。
黒: 土壌か、考えても見なかった。
白: それだからいつも失敗するのよ、基本が出来てないのよ・・・物事の基本が・・・。

 黒は惨めな感触に、少し背骨を丸めた。まるで追いつめらたネズミさんのように。白は黒を大切に思っているためか、いつも語気が荒くなってしまうのだろう。無毛の大地かどうか確認しないで、種をまいてしまい、何時になっても発芽しないのは条件が整わないからだと思い悩み続ける。肥料や水を与えるが一向に発芽しない。もともとその大地には栄養素が無い事は確認してない黒。基本的な問題を無視している事に疑問を感じない。散々、苦しんだあげくの果てに実らない大地に種を蒔いた事に気がついた黒であった。黒は空を見上げた、音も無く上空をジェット機が飛んでいった。

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この記事について

このページは、yoshirouが2011年1月24日 19:29に書いた記事です。

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