昔の恩師は今は何も語らず。
人の顔を見ても、初対面の人に対する様な眼差し。
「先生、お元気でしたか・・・・?〇〇です。」
しばらくしても何も返答がないままに。
何処のお方でございますか?といった態度だ。
いささか戸惑う自分がそこにあった。
「先生・・・。」
「はい・・。」
あなたは誰だ、といった雰囲気。
きっと分からないのだ。まだあれから3年しか経っていないのに。
先生は糖尿病と心臓病を患ってしまい、ついに痴呆がはじまってしまった。若いころはマラソンランナーで威勢がよく村の人気者だったK先生。なんとなんと侘しい事だ。昔の様に語る事もせず、社交辞令で挨拶する。姿形は昔のままだが、その振る舞いは吾関せずという有様だ。でも、どことなく幸せそうだ。
空白の時間が自分の中で刻まれてゆく。K先生のしぐさが幼稚でかわいらしく見えた。人の老いははかなく、侘しく、哀愁の挽歌の様だった。
(写真は自宅の裏通路、デジカメ にハッせルのレンズをつけて撮影)
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